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労基署からの指摘も!?訪問看護ステーションの“曖昧なオンコール管理”に潜む落とし穴

訪問看護ステーションの労務管理の中でも、「オンコール対応」は最も注意が必要なポイントの一つです。

 

自宅で待機している時間は労働時間なのか?

呼び出された場合はどう管理するのか?

 

これらを曖昧にしたまま運用していると、労働基準監督署の調査で思わぬ指摘や是正勧告を受けるケースもあります。

今回は、オンコール管理で気を付けるべきポイントと、トラブルを防ぐための対策をご紹介します。

 

■ オンコールとは?その労務管理の難しさ

訪問看護では、日中の通常業務とは別に、夜間・休日も対応する必要があります。

そのため、自宅などで待機し、電話や呼び出しがあれば駆け付ける「オンコール体制」を組むことが一般的です。

問題になるのはこの待機時間が、「労働時間」として扱うべきなのか?それとも「労働時間外」なのか? という点です。

 

■ 労働基準法上の考え方

基本的には、

  • 呼び出しがなく、自由に過ごせる → 労働時間ではない(ただし待機手当を支給することが望ましい)
  • 呼び出しがあり、訪問した → 訪問から帰宅まで 労働時間
  • 待機中でも頻繁に連絡が入り、自由時間とは言えない状況 → 労働時間とみなされる場合がある

つまり、実態によって判断されるのです。

 

■ よくある誤解・労基署が指摘しやすいポイント

誤解①:待機中は「労働時間外」だから、手当だけ支給していれば問題ない

→ 実態として拘束性が高い場合、待機時間も労働時間とされる可能性があります。

誤解②:就業規則に書いていなくても、口頭で説明していれば大丈夫

→ 労基署調査では、就業規則や出勤簿、賃金台帳などの「証拠書類」で判断されます。

 

■ 実際にあったケース

ある訪問看護ステーションでは、オンコール手当のみ支給し、待機中の時間管理をしていませんでした。

しかし、

  • 30分以内に電話対応必須
  • 1時間以内に訪問できるよう外出制限あり
  • 毎晩待機する体制

この実態から、労働基準監督署が「拘束性が高く、労働時間相当」と判断し、

未払い賃金の是正勧告を受けました。

 

■ 専門家からのアドバイス

オンコール管理は「就業規則を整備するだけ」では不十分です。

以下のように、制度設計と運用をセットで整える必要があります。

 

就業規則に明記する事項

 ・オンコール勤務の定義

 ・待機手当、緊急出動手当など

 ・労働時間とみなす範囲

 

勤務管理の工夫

 ・勤務表でオンコール待機・呼び出しを記録

 ・給与計算上、労働時間・手当を正しく区分

 

▼ 当事務所ができること

◎ オンコール管理のルール作り

・労働時間と待機時間の区分整理

・待機手当、緊急出動手当、代休制度などの整備

・労働時間・給与計算への落とし込み

 

◎ 実態に基づく就業規則・賃金規程の作成

法律に準拠しつつ、“現場が守れるルール” をわかりやすい言葉で作成

内部監査・労基署調査にも耐えうる内容

 

◎ 労基署調査・是正勧告対応

調査前の事前チェック

調査立会いや是正報告書の作成サポート

再発防止策の策定

 

▼ ご相談から支援までの流れ

初回ヒアリング(無料)

 オンコール体制や就業規則の現状、困っていることをじっくりお伺いします

現状分析と課題整理

 実態をもとに法的リスクや改善ポイントを明確化

制度・規則案のご提案

 法律だけでなく、現場で守れる範囲を考慮したご提案

就業規則・賃金規程作成・改定

 わかりやすい条文で整備

労働者説明会、労基署提出・調査対応サポート(必要に応じて)

 

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お電話での問合せ:06-6940-4115

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