コラム
COLUMN

派遣会社では、社内で働く「内勤社員」と、取引先で働く「派遣社員」が在籍しています。
どちらも会社の社員であることに変わりはありませんが、働く環境や労働条件が大きく異なることから、同じ就業規則で一律に管理することはトラブルの元になるケースも少なくありません。
今回は、派遣会社ならではの就業規則作成時の注意点をご紹介します。
■ 内勤社員と派遣社員、働き方の違いとは
内勤社員:営業職・コーディネーター・総務など、社内で働く従業員。勤務時間・休日・服務規律は自社が全面的に管理。
派遣社員:派遣先企業で働く従業員。勤務時間や休憩時間、休日などの一部は派遣先の就業ルールに準じるが、雇用主はあくまで派遣会社なので36協定や就業規則の内容に注意。
つまり、会社が直接管理できる範囲と、派遣先が管理する範囲が異なるため、それを踏まえた規則整備が必要です。
■ 派遣社員と内勤社員で就業規則を分けるべきポイント
同じ就業規則内で管理する場合でも、以下のような区分を明確にする必要があります。
労働時間・休日・休憩
→ 内勤社員:自社の規定に準じる
→ 派遣社員:原則、自社の規定に基づくが、派遣先ルールの範囲で勤務
服務規律
→ 内勤社員:社内での行動規範を中心に記載
→ 派遣社員:派遣先でのマナーや守るべきルールも明記
福利厚生・休暇制度
→ 内勤社員・派遣社員で制度の対象範囲が異なる場合は、その旨を明示
■ よくある誤解・注意点
派遣社員は派遣先のルールに従えばOKと思いがちですが、雇用主は派遣会社。
自社の規則で明示しておく必要があります。
仮に就業規則を1本化する場合も、「適用範囲」「対象区分」を条文ごとに明示しておかないと、現場で混乱します。
■ 実際にあった事例
ある派遣会社では、内勤社員向けに作った就業規則を派遣社員にもそのまま適用していました。
すると、派遣先での遅刻や早退、休憩時間の運用が実態と異なり、派遣社員が「どちらを守ればいいのか?」と混乱する事態に…。
このケースでは、派遣社員向けに「派遣先の指示に従うこと」「自社への報告義務」などを明確に追加し、それ以降トラブルは激減しました。
■ 解決策のステップ
①労働者の区分ごとに働き方・勤務条件を整理
②就業規則(または派遣社員用就業規則)を作成・修正
③従業員に周知・説明
④労働基準監督署へ届出(必要な場合)
■ 当事務所のサポート ~貴社のお悩みに寄り添い、実態に合った規則づくりを~
派遣会社様が直面する課題は、法律だけでなく、実際の現場運営や社員・スタッフの不安や疑問など、多岐にわたります。
当事務所では、そうした経営者様・労務担当者様のお悩みに寄り添い、
「ただ法令通りに作る」だけではない、「貴社の実態に即した就業規則づくり」を心がけています。
■ 当事務所のサポート内容
①労働者派遣法や労基法の要件をふまえた「派遣社員・内勤社員」の区分整理
②現場の働き方やお困りごとをヒアリングしたうえで、貴社に最適な条文案を作成
③必要に応じて「内勤社員規則」「派遣社員規則」を分けた作成にも対応
④社内説明用の資料作成や、社員説明会の実施サポート
⑤労働基準監督署への提出手続き、事業報告、派遣業許可更新時の書類作成もトータル対応
是非こちらからお問い合わせください。
♦お電話での問合せ:06-6940-4115
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